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「もちろん私は、&とか#とか*とか+とかの記号を使って自分で検索式を作るのが、お客さまにとって難しいことだとは考えていません。」

このお客さまの自尊心を傷つけない話術が重要です。「お客さまにとって難しいですよね〜」なんていってはいけません。で、続けます。

「むしろ、その方法の方が自由度があると考えています。それでもなお、このようなメイトリクス式というかテンプレート式にこだわったのは、検索に一度使ったキーワードを、二回目はマウス操作だけでこの枠に入力できるようにしたかったからです。検索式を入れる大きな枠ひとつではなく、一つひとつに分かれている枠があれば、」

といって、ディスプレイの前まで移動し、その枠をゆびさします。そして再び定位置にもどってきて、(そうしないとマウス操作ができないので)

「枠の上にカーソルを移動し、このように右クリックするとほら!最近使用したキーワードの一覧がポップアップするのです。このポップアップの中から選択すればいいのです。これにも学習機能があるので、よく見る順に並んでいるのです。」

一瞬下を向いて、考え込むような姿勢をし、顔を上げて、

「つまり、検索によく使うキーワードというものが、業種を問わず存在するだろう、そして、それを毎度毎度キーボードから入力する必要はないだろう、と考えたわけです。例えば、『名刺』とか『記事』などというキーワードは、ほんとによく使います。サピエンスでは、仕事柄『衛星』とか『サテライト』というキーワードも頻繁に使用します。また、お客様からの電話のお問い合わせに対して、よくカタログの検索をしますので『カタログ』なんていうキーワードもよく使用します。話がまたまたそれますが、サピエンスでは、既に12万8千ページを超えるドキュメントが貯えられ、すべての社員のウィンドウズパソコン上で『超』ファイリングシステムが使用できるようになっています。その結果、お客様からのお問い合わせに対する、折り返し電話が随分と減りました。例えば、お客様から『シャープのJXー330を使用しているんだけれど、IBMのアプティバの場合、SCSIインターフェースは何を買えばいいの?』などという質問がよくあるんですが、」

という説明をしている間にも、検索のテンプレートの枠の上で右クリックして、「カタログ」というキーワードを見つけて、それで検索して、もうシャープのカタログを見つけだしました。瞬く間にカタログが表示されて、スペックの載っている最後のページまで捲って

「こういう場合でも、このようにすぐに目的のドキュメントにたどり着くことができるわけです。しかも、お気づきと思いますが、ここまで、キーボードには一切触れていません。で、つまり、ほとんどの場合、お問い合わせにたいして、その場で回答できるようになってしまった訳です。これは、お客様満足度の向上にも繋がりますし、我が社にとっても人件費、電話代等コスト削減に貢献しているわけです。で、ここまでが、わざわざ検索をマトリックスのフォーマットにした理由の説明。ところで、次は、特許の話です。最近、私は、よく特許こ特とで、加藤許事務所の加藤先生と連絡することがあります。そのやり取りの中で気が付いたことですが、」

と切り出して、あなたの注意をひきます。

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