この間、石つくったんです。石っていっても、わからないですね、ICのことです。つまり集積回路。アンチエイリアシングというグラフィックスの処理を高速に計算するICです。で、昔は、IC製造と言えば、日本の半導体メーカーに頼んでいたのですが、今の日本の半導体メーカーは、集積度があがり、そのうえ、シリコンウェハーの直径が大きくなってしまったため、1回頼むと10万個くらい、すぐ、できてしまうんです。
で、少量生産してくれる会社がないかな〜と、探してみると、あるんです。アメリカには、結構きめ細かく対応してくれる会社があるんです。結局、日本に代理店のあるシリコンバレーの会社に製造を発注したわけです。ところが、その会社、本拠地がフランスにあり、製造だけを、シリコンバレーでやっていたのです。気が付いたら、日本、フランス、アメリカの3極開発態勢になっていたわけです。
まぁ、図面を提出したら、寝て待っていればICができてくるのなら、それでも大した問題はないのですが、ICを量産レベルまでもって行くって結構大変なんです。CADのデータをメールに添付して送るだけではなく、タイミングチャートといって、ICの信号の振る舞いを時間を軸に記述したグチャグチャの(ように素人にはみえる)図面に書き込みをして送ることがしばしばなんです。「ここのセットアップタイムが7nsを切っているから、、、、」というようなやりとりが延々続きます。これって、CADデータを直接いじって、メールで添付したのでは、なかなかお互いのコミュニケーションがうまくいかないんです。そんな訳でこのツールができるまでは、ファックスとメールでやりとりをしたわけです。それらのファックスもちゃんと管理しないと後で、責任の擦り合いになるので管理も、もう大変なんです。くたくた、で、つくってもらったのが、このsp3fileの前身だったわけです。
とにかく言語やバージョンになやまされない方法で、CAD図面とその上に書き込んだアノテーションが確実に伝達できる方法がほしかったんです。